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コラム

〜第21回「物件調査編その4(物件の特定)」〜

経済レポート2093号[平成17年12月20日]掲載
  1. はじめに
     不動産の評価や取引を行う際には対象物件を特定するという作業が出発点となります。これは当たり前のようで意外と難しいものです。現に住んでいる不動産の登記簿や図面(公図等)をみたこともないという方も意外と多いと思います。物件の特定作業をおろそかにすると対象不動産を取り違えたり、現実に存在しなかったり、トラブルの基となったりといった事態を引き起こしかねません。この作業は最も基本的かつ重要なものの一つだといえます。
  2. 準備する資料
    ・ 地図(住宅地図、都市地図)
    ・ 法務局備付の登記簿、公図、地積測量図、建物図面
    ・ 建築確認書
    ・ 固定資産課税台帳
    ・ 売買契約書、賃貸借契約書
     以上が主だった準備資料ですが、法務局で最新の登記簿等を入手することをお勧めします。これらの事前準備をしたうえで、実際にその物件を自分の眼で確かめることが大切です。
  3. 具体例

    [1] 

    住居表示と地番
      私たちが日常いわゆる住所として使用しているものが住居表示ですが、土地の登記簿は地番という番号で管理されています。おおざっぱに割り切っていえば、一つの物件を特定するために、住居表示は郵便配達等に使うもの、地番は登記で使うものと考えればよいでしょう。かつては住居を表示するのに地番が使用されていたこともあり、物件を取り違えないよう注意が必要です。

    [2] 

    登記簿の地積
      実際の面積と登記簿の面積が一致しないことはよくあります。講演会などでこの話をしますと、不動産に馴染みのない方は、登記簿とはなんと当てにならないものかと驚かれますが、それが実情です。この原因の多くは、明治時代の地租改正にさかのぼります。地租(税金)を取るために測量したためなるべく地租が少なくてすむように実際より小さく測る傾向があったことや測量技術の未発達によるものです。
      なお、土地を実測した結果、その面積が登記簿の面積(公簿面積とも呼ばれる)よりも大きい場合に、「縄のびがある」ということばが用いられます。そして、「縄のび」とは、その際の超過面積のことを指しています(反対に、実測面積が登記簿の面積よりも小さい場合には、「縄縮みがある」と呼ばれています)。このことばは俗称であり、このように呼ばれるのは、当時の測量手段が縄によっていたことに端を発しています。
      ちなみに、1坪は3.3m2とよくいわれますが、正確には0.3025で換算します。1坪は1÷0.3025=3.305785m2。100m2は100m2×0.3025=30.25坪となります。

    [3] 

    公図による確認
      一見、道路に接面している普通の土地にみえても、法務局で公図を取ってみると、土地のなかに水路や里道が介在していたり、道路との間に第3者の土地が介在している等思わぬこともよくあります。
      また、法務局備付けの公図も一定の場合を除き信頼性は低いことに注意してください。

    [4] 

    建物の相違
      これは、担保の評価時に体験したものですが、現実の建物と登記簿の記載が大きく違っており、現実の建物は2階建で最近建築されていましたが、登記簿は昭和40年代の築年で平家建となっていました。色々と調べてみますと既に取壊された建物の登記簿がそのままの残っており、新しい建物は登記されていないことが判明しました。この金融機関は実在しない建物を担保にとっていたことになります。

  4. 最後に
     以上はほんの数例ですが、適切に物件の特定作業を行った後は、権利の態様の確認も行う必要があります。賃借権がついていたり(賃借権も旧法のものか新法のものか、その内容は等)、送電線のための地役権が設定されていたり等対象不動産をめぐる権利関係を把握することも大切です。
以上
第20回
「物件調査編その3(公法上の規制)」へ
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「物件調査編その5(土壌汚染パート1)」へ

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